吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟における原告・京都大学側の控訴に対する抗議声明
2024年2月29日
吉田寮自治会
2024年2月29日、吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の原告である国立大学法人京都大学が控訴したとの報道[1]がありました。吉田寮自治会はこの控訴に対して厳重に抗議し、改めて京都大学執行部がこの不当な訴訟を直ちに取り下げ、話し合いを再開することを強く求めます。
2024年2月16日に言い渡された吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟の第一審・判決は、在寮被告17人中14人の居住、吉田寮自治会の法的主体性、さらに寮自治会と大学の担当者との間で長年交わされてきた確約書の有効性を認めるものでした。つまるところ、数十年に及ぶ、吉田寮自治会と京都大学当局との間の話し合い及びそこでの合意が、正当かつ有効なものであると認められたのです。私たちは2月19日、声明「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟 第一審・判決を受けて」[2]を湊長博総長および國府寛司学生担当理事宛に提出し、原告側が判決を重く受け止め、話し合いを再開することを求めました。寮自治会としては、京都大学が判決を機に、訴訟を取りやめて対話の意思を示すという形で、学府としてのあるべき姿を見せることを期待していました。
しかしそれ以降、上述の要求に対する京都大学当局からの応答はありませんでした。28日には、裁判所の定めた控訴の期限が迫り、私たち寮自治会はやむなく敗訴被告3人の控訴を決断しました[3]。そして29日、勝訴した寮生について、大学側が控訴しました。第一審・判決を機に、前執行部の独断により始められたこの不当な訴訟を中止し、学生との対話を再開する選択肢もあったはずです。それにもかかわらず、寮自治会からの呼びかけに対する京都大学当局側の応答が何もなく、ここに至ったことは、極めて残念なことです。このことは、現京都大学執行部が、私たち吉田寮自治会や学生・教員・市民が再三訴えてきた意見・要請[4]を一顧だにしないという明確な意思表示であり、前執行部の強権的な方針を無批判に継承することにほかなりません。
私たちは今もなお、対話の道が完全に閉ざされたわけではないと考えています。控訴審を取りやめ、話し合いを再開するという判断は今からでも可能です。私たちも控訴を取り下げる用意はあります。大学執行部の責任ある判断を信じて、対話の再開を求め続けます。
繰り返しになりますが、吉田寮自治会は、京都大学執行部に対して、控訴を取り下げ、対話を再開することを強く求めます。
[1] 【速報】京都大学の”吉田寮訴訟”1審判決不服として京都大学側も控訴「あす午後に見解を公表する」(MBSニュース) https://www.mbs.jp/news/kansainews/20240229/GE00055804.shtml
[2] https://yoshidaryo.org/archives/seimei/3175/
[3] 被告側控訴についての見解:吉田寮自治会「吉田寮現棟・食堂明渡請求訴訟第一審判決において敗訴した寮生被告の控訴について」, 2024年2月28日, https://yoshidaryo.org/archives/seimei/3212/。控訴はやむを得ない措置であり、訴訟によらない問題解決に向けて、話し合いの再開を求めていくことは今後も変わらないということを強調している。
[4] 例えば、京大教員有志から「吉田寮訴訟の撤回と対話による解決を求める要請書」(2023年7月20日, https://seeking-dialogue.hatenablog.com/entry/2023/07/20/161635)が出されていたり、朝日新聞が社説(2024年2月19日, https://www.asahi.com/articles/DA3S15866498.html)で吉田寮の存在や自治の意義、対話の再開を訴えたりしている。