情報公開連絡会制度の廃止に対する抗議声明
京都大学における副学長情報公開連絡会(以下「連絡会」)は、学生など当事者(当該問題に関わると考える人々や団体)に対して、大学当局が大学のリアルタイムの情報を公開する場である。原則的に月に一度公開の場で開催され、評議会・部局長会議・研究科長部会・学生生活委員会などの議事内容等を、学生担当副学長が説明し、誰もが参加することができる。
ところが川添副学長は 2016 年 2 月 18 日の連絡会で、「連絡会を廃止することが学生生活委員会で承認された」ことを報告した。吉田寮自治会は連絡会の廃止決定に対して強く抗議し、撤回を求める。
大学関係者のうち学生など多くの人々は、大学運営に関する決定を行う諸会議への参加権利を奪われている。私たちは紛れも無く大学運営に関わる当事者であるにも関わらず、基本的な意思決定プロセスから除外され、自らに関係する物事が自らの意志とは関係なく決定されたり、そのことで自らの権利を抑圧されたり不利益を被っている。この状況を少しでも改善するためには、学内で現在取り扱われている問題に関する情報が、遺漏なく私たちに公開されることが必要不可欠であり、連絡会はそのための情報公開の場である。
したがって、連絡会の存亡は学生など当事者に重大に関係する事柄であり、大学当局内の会議によって勝手に廃止が決定されてよい問題ではない。
連絡会は上記のような状況を鑑みて、大学当局と学生など当事者との話し合いの末に両者の間で交わされた約束に基づく情報公開制度である。当事者に対して学内の情報を公開し、要望に応じて話し合いを行うことは、歴代の総長・副学長が明確に約束してきた。 1998 年に副学長制の導入が強行されるにあたり、宮崎昭学生部長が署名した確約書において「学生などに関わることについては、いかなる事も可能な限り早く学生など当事者に周知し、当事者との合意なしには決定を下さない」ことや「情報公開の場として、副学長が参加する連絡会を公開の場で開く」ことが明記され、以降 17 年に渡り同内容の確約が歴代の副学長と確認され、現在にまで引き継がれている。なお、これらは、 2003 年の総長団交をはじめ全学的な話し合いの場で確認された事項であり、吉田寮自治会のみならず全学の学生など当事者に対し約束されている。
川添副学長及び学生生活委員会による連絡会廃止の決定は、こうした約束を一切の話し合いも行わないまま反故にし、大学当局と学生などが交わしてきた 17 年間の議論の積み重ねと合意形成をまるで意に介すことなく、踏みにじるものである。到底容認することはできない。
川添副学長は 2 月 18 日に行われた連絡会で、連絡会に代わる「より効率的な情報公開の手法」として、広報誌の発刊や HP・Twitter の活用、メールフォームによる質疑応答を挙げた。しかしその場でメールフォームによるやり取りでは大学当局が回答しない危険性があることを危惧する声に対して、川添副学長は「回答できない旨を回答する」等という露骨な官僚答弁を行っていることからも、このような代替案の提示が責任ある学生対応を放棄するためのアリバイに過ぎないことは明らかである。これらは、本来連絡会を補完する形で行われる情報発信であって、その実施を理由に連絡会を廃止してはならない。川添副学長は、大学当局の学生対応の責任主体として学生など当事者と直接やり取りを行うという 17 年間継続されてきた職務を放棄してはならない。
以上の点から吉田寮自治会は情報公開連絡会制度の一方的な廃止決定に強く抗議するとともに、以下のとおり要求する。
1、学生生活委員会その他大学の諸会議における連絡会廃止の決定を撤回した上で、改めて本件に関する学生など当事者との団体交渉を開催し、話し合いを行うこと。
2、3月 17 日に予定される連絡会を以て、情報公開連絡会制度を打ち切らないこと。
2016 年 3 月 6 日
吉田寮自治会