2016年10月6日に山極総長宛に発した抗議文

2016年10月6日

2016年10月6日

京都大学総長 山極壽一 殿

吉田寮自治会

抗議文

2016年9月30日、京都大学名義で告示第5号が発出された。

告示第5号

本学構内において、学外者による勧誘行為、ビラ配布、拡声器などを使用して大音量を発する行為、その他教育研究活動を妨害する一切の行為を禁止する。

これらの迷惑行為を行った個人または団体に対しては、大学構内への立ち入りを禁止するなど、厳正に対処する。

京都大学

我々はこの告示は学生など当事者の権利を侵害するものと考え、撤回を要求する。以下、我々の見解を示す。

1、この告示における「学外者」とは、京都大学に籍をおいていないもののことを指しているのかもしれない。しかしこうした人々は、サークル活動や学会などは言うに及ばず、大学の様々な活動において普遍的に現れる存在である。したがって、京都大学に籍をおいているか否かによって活動を規制したり、構内への立ち入りを禁止することは、これらの人々に対する差別行為であり、また京都大学を閉鎖的な空間にすることを意味し、容認出来ない。

2、告示の中で触れられている『勧誘行為、ビラ配布、拡声器などを使用して大音量を発する行為』であるが、これらは学生など当事者にとって大学に関する問題について、自らの主張を表現する手段の一つである。近年、大学執行部(総長や理事)の権限がより強化されてきており、特に学生や京都大学に籍をおいていない者は大学の意思決定プロセスから排除されることが多い。こうした人々にとって、自らの主張を公に表現できるこれらの手段はますます貴重なものになっている。また、京都大学の問題は、現段階で京都大学に籍をおいている者以外にも関係することがある。この場合、京都大学において何らかの主張・抗議をすることは、当然、「学外者」に対しても開かれているべきである。

3、この告示に示された「教育研究活動を妨害する一切の行為」及び「迷惑行為」などの言葉は全く曖昧である。大学当局によって恣意的な運用が可能であり、学生など当事者を弾圧するための口実として利用される可能性が高い。実際、違反した個人または団体に対しては厳正に対処すると書かれており、大学当局による権力濫用が強く懸念される。更に、当該人物を大学構内から排除するとしていることや、同日出された告示第6号において「法的措置も含めて厳正に対処する」と書かれていることを鑑みれば、警察等の外部権力を導入しようとしているとも想定される。そのような暴力的「対処」を吉田寮自治会は認めない。こうした大学当局の強権的な姿勢自体が、学生など当事者による大学構内での「正課」外での諸活動を大きく萎縮させる機能をもち、容認出来ない。

以上3点にわたって述べてきたように、大学当局が「迷惑行為」といった曖昧な言葉を恣意的に運用し、学生など当事者の活動を一方的に規制することは、認められない。また京大に学籍をおかないことを基準として排除することも、容認しない。