金沢大学当局による泉学寮への寮生退去通告に抗議する
吉田寮自治会
2023年2月15日
1. 概要
金沢大学当局は、2023年3月31日をもって学生自治寮である泉学寮を廃寮することを、2019年2月に一方的に決定した[1]。退去期限を迎えようとしている中、吉田寮自治会は金沢大学当局に対し、泉学寮の廃寮及び寮生への退去通告について、厳重に抗議する。
2. 経緯
泉学寮は1965年に設置された自治寮であり、金沢大学の男子学生が居住できる。寄宿料月700円、諸経費月約8千円という廉価[2]をもって学生に居住の場を与えることにより、福利厚生施設として、金沢大学において欠かせない役割を担っている。
2019年2月、金沢大学当局は老朽化を理由として、一方的に泉学寮の廃寮を決定し、寮生に通告した。その後当局と寮生との間で話し合いの場が持たれるも、学生側の意見が聞き入れられることはなく、本年3月末の退去期限を迎えようとしている。
3. 問題点
このような当局による廃寮通告には、以下のような問題点が挙げられる。
(1)金沢大学当局が、適切な話し合いのプロセスを踏んでいないこと
(2)代替学生寄宿舎が、大学の福利厚生施設としてあまりにも不十分であること
(1)に関して、大学当局と学生との間の問題は、本来当事者どうしの話し合いで解決されるべきである。しかし金沢大学当局は、廃寮方針を一方的に決定し、当事者である寮生には「説明会」という形で伝えたにすぎない。当局は廃寮の理由を、建物の老朽化、不採算性、民業圧迫としている。しかし、老朽化の根拠は示されておらず、その他の理由も到底廃寮の理由たりえない[3]。のみならず、その後も寮生からの説明を求める要請を無視したり、個々の寮生に対し処分をほのめかしたりと、話し合いを放棄する態度を取っている[4]。
(2)に関して、金沢大学当局は泉学寮生に対し、留学生との混住型寄宿舎を代替宿舎として提供する方針を示している。これらの学生寄宿舎は寮費が月3万円を上回っている。話し合いではなく、大学当局による一方的な決定により、泉学寮の3倍以上と多額の負担を現在、未来の学生に強いることとなる。また入居条件として、「ある程度の本学における大学生活経験や外国語能力」あるいは「在学時における海外留学等,国際交流活動を具体的に計画している」ことが求められるなど[2]、学生の入居に対する障壁が高い。さらに、これらの寄宿舎は自治寮ではなく、大学当局が管理を民間業者に委託している管理寮である。過去に吉田寮が声明文で言及した[5]ように、自治寮であることと、福利厚生施設であることは不可分である。また、前段で述べた一連の金沢大学当局の姿勢を見ると、やはり学生の立場を反映する寮自治会が必要であるといえる。
4. おわりに
金沢大学当局による、老朽化を理由とした泉学寮への一方的な廃寮通告は、以上のような問題点を有している。吉田寮自治会はこれに厳重な抗議を表明するとともに、泉学寮生との話し合いにより問題の解決を図ることを金沢大学当局に要求する。
泉学寮の存続を求める署名サイトはこちら
[1] 毎日新聞「金沢大学生寮が廃止の危機 築50年以上、月1万円…安全か安価か」2022年5月21日(https://mainichi.jp/articles/20220520/k00/00m/040/126000c)
[2] 金沢大学公式HP「住居(学生寄宿舎)」(https://www.kanazawa-u.ac.jp/campuslife/livelihood/residence)
[3] 2022年11月2日吉田寮自治会主催全学シンポジウム「開け大学!みんな集まれ」泉学寮生登壇時原稿を参照:https://www.yoshidaryo.org/wp-content/uploads/2022/10/ef8c0ed2322cb16d60a6cf964f2fb914.pdf
[4] 「泉学寮廃寮問題に関する要望書」に対する回答への抗議声明を参照: https://twitter.com/sengaku_1965/status/1585466440857141249?s=46&t=xYX1I4T5LtFKBAc9d_GIGg
[5] 声明「吉田寮の未来のための私たちの提案」2019年2月20日, 吉田寮自治会(https://www.yoshidaryo.org/archives/seimei/495/)