抗議声明
2019年3月5日 吉田寮自治会
さる2019年3月4日、京都大学当局の申立てを受け、京都地方裁判所によって、吉田寮現棟および食堂について、占有移転禁止の仮処分が強制執行された。これは、本年1月17日における占有移転禁止の仮処分に引きつづき、2度目の執行である。また、同日、京都大学ウェブサイトにおいて、京都大学名義にて「吉田寮現棟に係る債務者不特定の占有移転禁止の仮処分の執行について」と題する文章が発表された。 吉田寮自治会は、京大当局が寮自治会との話し合いによる問題解決を等閑視し、またも法的手段に訴えたことについて遺憾の意を表すとともに、当該文章における、これまでの経緯を捨象し、寮自治会に責任の全部を押しつけるかのような表現にたいして強く抗議する。以下、当該文章における問題点を具体的に記述する。
当該文章では次のように書かれている。
現棟に関しては、本年1月17日に、安全確保の観点から、寮生である債務者を特定した占有移転禁止の仮処分が執行されましたが、その際に、本学が把握する寮生以外の者が現棟に居住している可能性が高いことが判明しました。(中略)
その結果、本日の執行により、本年1月17日の執行の際に特定された寮生以外の者が、現棟を権原なく占有していることが確認されました。
たしかに、吉田寮現棟には、1月17日の執行時に債務者として名前を挙げられた寮生のほかにも、居住する者がある。しかし、それは次のような経緯により、正当なものである。吉田寮自治会は、月ごとに大学当局へ寮生の名簿(各寮生が現棟/新棟のいずれに居住しているかを明らかにしたもの)を提出しているが、2018年4月以降、寮自治会が従前どおり毎月名簿を提出しようとするも、大学当局はそのたびごとに受け取りを拒否しつづけている。その後も、寮自治会は、寮内での定期的な引越し、卒業等による退寮、新入寮生の受け入れなどにさいして、名簿を随時更新してきた。1月17日の執行における債務者の簡抜は、大学当局が受理した最後の名簿、すなわち2018年3月時点の名簿に根拠をおいているようであるが、当局が名簿を受け取らない以上、当然のことながら現在の居住の実態を反映したものたりえない。このように、現棟に居住する寮生を当局が把握できないというのは、ひとえに名簿の受け取り拒否という職務怠慢によるものである。
また、「本学が把握する寮生以外の者」が「現棟を権原なく占有していることが確認され」たとされているが、吉田寮に居住する寮生はすべて、寮自治会による適切な選考を経た京都大学の学生である。したがって、今回の執行において名前を挙げられた寮生による現棟の占有は、正当な居住権にもとづいたものである。
なお、吉田寮自治会は、本年2月20日付で発表した文書「表明ならびに要求」にて、一定の合意がえられるかぎりにおいて、本年5月末を目途として現棟における全寮生の居住を取りやめることとすると表明している。吉田寮自治会は、このような法的手段ではなく、大学当局との話し合いにもとづいた現棟老朽化問題の解決を切に望んでいる旨、あらためて強調する。