2020年4月5日
抗議声明
京都大学
総長 山極 寿一 殿
理事 阿曽沼慎司 殿
同上 稲葉 カヨ 殿
同上 川添 信介 殿
同上 北野 正雄 殿
同上 久能 祐子 殿
同上 佐藤 直樹 殿
同上 平井 明成 殿
同上 湊 長博 殿
吉田寮自治会
去る3月31日、京都大学当局は吉田寮生および元吉田寮生(*)のうち、新たに25名を相手取り、吉田寮現棟・食堂にかかる明渡請求訴訟の提起を強行した。これは2019年4月26日の提訴に続く第二弾である。
さて、現在、新型コロナウイルス感染症の流行は拡大を続け、京都市内においても日増しに多くの感染例が報告されているところである。寮で100人規模の共同生活を営むわたしたちにとっても、これは目下最大の懸案事項となっている。しかしながら、京大当局は、吉田寮への衛生用品の支給をはじめとして、対策のいっさいを拒否している。そのため、わたしたちは独力で感染の予防や対策を講じざるをえず、日々忙殺されている状況にある。
そもそも、感染症が流行する以前から、わたしたちは進行中の訴訟の対応に労力を割くことを強いられてきた。したがって、現在のこの混乱において京大当局がなすべきだったのはその訴訟の取り下げでこそあれ、けっして新たに訴訟を開始しようとすることではない。京大当局は、吉田寮での感染症対策に協力しようとするどころか、わたしたちがいっそう不要不急の訴訟対応に追われるような結果を招き、喫緊の重大な問題への対応を手薄にさせる状況をつくりだしている。寮生のみならず広く京大の学生や教職員、近隣住民の健康・生命にさえもかかわる問題であるだけに、きわめて悪質であるといえる。
このように、京大当局がいま再び提訴に踏み切ったことは、非人道的かつ著しく公共性を欠く行為であり、わたしたちは最も強い言葉でこれに抗議する。京大当局においては、ただちにこれらの訴訟を取り下げることを求める。
*2019年3月時点で京大の学籍があったが、その後卒業し吉田寮からも退寮した者。