2015年8月4日に提出した京都大学総長山極壽一への公開質問状

2015年8月4日

2015年8月4日

京都大学総長 山極壽一殿

吉田寮自治会

公開質問状

2015年7月28 日、杉万俊夫理事・副学長名義の通告文『吉田寮の入寮者募集について』を受け取った。翌29日には、京都大学ホームページ上に山極壽一総長名義でこの件に関する声明が掲載された。我々吉田寮自治会は、この通告及び声明はこれまで吉田寮自治会と大学当局とが合意してきた様々な事項に反すると考えている。

まず、吉田寮の入寮選考権は吉田寮自治会が有していることを確認しておきたい。このことは吉田寮自治会と大学当局とが結んだ確約に示されている。今回の通告はこの入寮選考権に一方的に干渉するものであり、不当である。大学当局が「これは提案にすぎない」と主張しても、既に巷には「吉田寮にはもう入寮できない」「吉田寮の廃寮化が決定した」という風説が流布している。この現状を鑑みれば、今回の通告及び声明は実質的に吉田寮の入寮選考権を侵害しているといえる。したがって、今回の通告及び声明を速やかに撤回するべきである。

次に、入寮募集停止は寮生の生命・財産を守るための処置として不適切である。吉田寮は福利厚生施設であり、吉田寮自治会はその役割を果たすために入寮選考を続けてきた。今回の通告及び声明はその経緯を無視したものである。本当に老朽化問題を解決したいのなら、自治会との団体交渉を速やかに再開し、大規模補修に向けた議論を再開すべきである。

以上の観点から、吉田寮自治会から山極総長に以下5点の質問をする。2015年8月14日までに回答されたい。

1. 吉田寮自治会と大学当局は2015年2月12日に17項目の確約を締結した。当然、大学当局はこの確約の意義・内容を理解しているはずである。しかし、今回の通告及び声明はこの確約の項目1、項目2、項目3に明らかに反している。これについてどのように考えているか。

2. 今回の通告をホームページに掲載したことにより、吉田寮の廃寮化が決定したという風説が流布している。このことにより、大学当局は吉田寮自治会の入寮選考権を実質的に侵害している。このような事態が起こることは容易に想像できたはずである。なぜ今回の通告をホームページに掲載したのか。また、このような事態に対して、ホームページ掲載を撤回するなど、さらなる対応をするつもりはあるか。

3. 今回の通告及び声明について、「山極総長は吉田寮自治会と話し合うつもりはある」と杉万副学長から言質を得ている。これまで吉田寮自治会と大学当局は団体交渉を開いて、様々な問題について議論してきた。団体交渉は、あらゆる当事者が参加できる公開の話し合いの場である。当然、今回の件も団体交渉の場で話し合うべきである。山極総長はいつまでに本件についての団体交渉を開くのか。

4. これまで吉田寮自治会と大学当局は現棟補修の意義を認めてきたはずである。このことは確約末尾の「吉田寮現棟(管理棟・居住棟)の建築的意義」にも明示されている。これに基づいて、吉田寮自治会は現棟の老朽化対策として京都市条例「京都市歴史的建造物の保存及び活用に関する条例」を適用することを主張している。この案については杉万副学長も賛意を示している。吉田寮自治会と大学当局がこれまで行ってきた大規模補修に向けた取り組みについて、山極総長はどのように考えているのか。

5. 現棟の老朽化対策を進めるためには、吉田寮自治会と大学当局とで団体交渉を行い、補修に向けた議論をする必要がある。しかし、3月9日以降団体交渉は開かれていない。この現状は確約項目9、項目11に明らかに反している。大学当局は吉田寮自治会との団体交渉をいつまでに開くのか。