吉田寮「退去期限」問題を追う

吉田寮「退去期限」問題を追う

文責:radian

2017年12月19日、大学当局は突然吉田寮から18年9月末までに全員出ていくように言ってきました。そして2019年4月にはあろうことか大学当局は一部の吉田寮生を相手取って訴訟を起こしました。この「退去期限」問題で当局は何をしてきたのか、その何が問題なのか、そして吉田寮自治会がそれに対してどう行動してきたのか、一連の動きを時を追って振り返ります。さらに詳しく知りたい方は吉田寮公式サイト(https://www.yoshidaryo.org)よりご覧ください。

○2017/12/19 大学当局が「吉田寮生の安全確保についての基本方針」を突然発表

 この文章中では、まず現棟の老朽化に関して以下のように述べています。1970年代は「現棟の危険な状態を認識し…、話し合いに努めたが本格的な改善整備はされず老朽化が進む」、2009年には「新棟を建てた後、現棟を建て替える方針を示す」、そして「新棟の建設は実現したが現棟の老朽化問題はそのまま」。このように述べた上で現棟は大地震が来た時に、大破や倒壊する恐れがあるので早急に寮生の安全確保をする必要があるとし以下の方針を突然打ち出しました。

    ① 2018年1月以降の新規入寮は認めない

    ② 同年9月末までに寮から全員退舎しなければならない

    ③ 希望する一部の者には同じ「家賃400円」で代替宿舎を用意する

    ④ 現棟の老朽化対策は収容定員増加を念頭に検討を進める

○2017/12/20,22,26 吉田寮自治会が基本方針に対する抗議声明と公開質問状を発表、提出

 大学当局が出した基本方針の何が問題なのか抗議声明の内容に沿って説明します。まず問題は大きく分けて3つあります。

① 確約書を無視している

確約書とは大学当局(学生担当理事)と寮自治会の間で結ばれる、諸々の約束が書かれたもので昔から理事が交代するごとに結んでいます。その中には「次期の理事に責任を持って引き継ぐ。」と書かれた項がありますが、当時の学生担当理事は『前副学長から確約文書を「引継ぐ」行為は履行されていますが、その内容を自動的に承認することが「引継」であるとは考えておりません。』などと述べて確約書を無視してきました。その確約の第一項目には、「吉田寮の運営について一方的な決定を行わず、自治会と話し合い、合意の上決定する。」とあります。 当事者間の話し合いによる合意形成を蔑ろにした一方的な「基本方針」策定はこうした確約書に違反しているのです。

また確約には現行の方式(吉田寮が入寮選考権を持つ)で入寮選考をする旨がかかれた項もあり、当局による一方的な募集停止は入寮選考権を侵害する行為です。

② 現棟老朽化問題の歴史的経緯を無視している

吉田寮自治会は大学当局と数十年にわたって現棟補修について話し合いを積み重ねてきました。この話し合いの経緯が無視されているのです。具体的には

1970年代…自治会側が現棟補修を求めていたのに対して当局が行うべき補修をサボタージュし老朽化が進行した。(このことは当時の学生部長も認めています) 

2005年…耐震調査をして補修案が策定されたが予算の都合で実現せず。

2012年…補修が有効な手段であることを確約書の形で確認。現棟の建築的意義を認めできる限りそれを損なわない補修の実現に向け協議を継続することを合意した。

2014年…自治会より補修案を提示。安全性が確保されるならそれで問題ないと赤松明彦学生担当理事(当時)が見解を示す。

2015年…杉万俊夫学生担当理事(当時)が、一理事として自治会が提示する案に賛同する。

このように、現棟補修に向けた議論を積み重ねてきたのですが、その後就任した川添(前)理事はこうした議論を白紙化し、現棟老朽化対策について「検討中」としか回答しなくなりました。大学当局が真に安全対策を考えるならば、速やかに現棟の補修を行うべきです。

③ 「安全確保」を謳っておきながら築3年の西寮からも出ていくように言っている

これは根本的に理解不能な点です。公開質問状でこの点を問いただすと、現棟と西寮でどちらに誰が住んでいるか提出されている寮生名簿からでは分からないから、と言ってきました。

○2018年3月中旬 入寮募集

 大学当局は「吉田寮には入寮できません」というビラを新入生全員に配布したり、京都大学のウェブサイトで、入寮できないと宣伝するといった入寮募集の妨害を強行しました。(今年も行われると思います。) 寮自治会は「入寮募集を停止させたいのであれば話し合って決めよう」と呼びかけましたが当局は応じませんでした。当局が言う「代替宿舎」は「基本方針」発表以前の寮生の一部にしか提供されません。福利厚生施設である吉田寮を必要とする人は必ずいるはず、ということから、寮自治会は2018年も入寮募集を継続しました。

○2018/03/22 西寮名簿提出

 当局が言う「現棟と西寮のどちらに誰が住んでいるか分からないから、西寮からも退去してもらう」という点を解消すべく、大学当局に現棟と西寮で分けた名簿を提出しました。当局はこれを正式に受理しました。

○2018/03~06 話し合いの遅延

 従来大学当局と寮自治会の話し合い(団体交渉)は、当事者誰もが参加できる公開の場で行なわれてきました。しかし前理事は「団体交渉では理性的で建設的な話し合いができない」として、参加者をごく少数に限定する非公開での「話し合い」しか認めないと言い張りました。寮自治会は何とか合意形成を図るために、傍聴人を認めることなど妥協案を提示しましたが、大学当局は、当局側の条件以外一切認めない、と頑なに話し合いの公開を拒みました。

○2018/07/13,08/30 少人数交渉

 大学当局が提示してきた条件をすべて自治会がのんで少人数交渉が2回開催されました。しかし、当時の理事はいざ交渉が始まると冒頭から「合意形成や協議はしない、意見を聞くだけ」と発言。更には寮生の発言を遮って怒声を上げて恫喝し、それを批判されても開き直るということすらありました。挙げ句、二度目の交渉では時間制限を理由に議論の途中で交渉を打ち切りました。寮自治会は3度目の交渉を求めましたが拒否されました。大学当局は「交渉」したというアリバイを作ることしかせずに、、話し合いを打ち切ったのです。

 具体的な内容でいうとまず現棟老朽化問題について。肝心の現棟老朽化対策については、寮自治会側からは現棟改修の具体案を3案提示しましたが、大学当局は依然「検討中」と答えるのみ(これは2016年以降言い続けている)で実質無回答でした。また「検討状況を教えて欲しい」とも求めましたが、「検討途中で公開すると混乱を招く」(=自治会から反発が出る)と言って拒否されました。これらのことから大学当局は老朽化問題を微塵も議論するつもりがないことが分かりました。

 また少なくとも新築の西寮から出ていく必要がないことを主張しました。前述のように寮自治会は現棟・西寮の区分を明記した名簿を提出し、これによって西寮を退去しなければいけない理由はなくなった筈でした。ところが当時の理事は、「名簿が信用できない」、「現在の吉田寮は近寄り難いので福利厚生施設として不適切」といった、ごく主観的な主張を展開し始めました。そして寮自治会が場合によっては西寮だけに住む用意があることを伝えると、「とりあえず全員出ていってもらってから、福利厚生の再編のため西寮をどう使うか別途考える」などと発言しました。つまり、当局は「安全確保」の目的を逸脱し、全員退去という結論ありきでしかないのです。

○2018/10/01 「退去期限」を過ぎる

大学当局が一方的に定めた「退去期限」を過ぎたこの日、大学による新聞の配達・衛生物品支給停止、電話線の切断、寮内労働者の配置転換が一方的に強行されました(その後、これらの機能は寮外有志の多数のカンパもあり、自前で回復しています)。また「退舎通告」を大学職員が現棟と西寮の玄関に貼っていきました。

○2018/10/17 公開質問状ならびに要求書を提出

 「退去期限」に伴う一連の措置についての説明・原状回復と話し合いの再開を求める質問状と要求書を大学当局に出しました。大学当局は無視して何も答えませんでした。

○2018/11/06 本部棟前での警察導入

 3回目の交渉の申し入れを行っても返答なく、公開質問状に対する返答もありませんでした。そして大学の窓口に行っても「要望は伝えておく」、「理事につなぐことはできない」とまともな応答をされませんでした。そこで会議後の学生担当理事に直接会いに行きました。しかし「話し合いをまずはしましょう」と呼びかける寮生に対して当時の理事はただ「どきなさい」としか応答せず、大学職員を30名近く導入して寮生を暴力的に排除しました。さらにはあろうことか警察10名近くが当局の通報でやってきました。警察官は来ても注意するくらいにとどまり特段干渉してきませんでしたが、当局の、自らと意見の違う者は力づくで排除するのみという姿勢が顕わになりました。

○2019/01/16 占有移転禁止の仮処分 #1

占有移転禁止の仮処分とは、建物の明け渡しを求める訴訟の前提として、被告となりうる建物の占有者(=債務者)を特定するための措置です。この日京都地裁の執行官数名が突然来寮して仮処分を行いました。現棟と食堂に対して数十名の寮生が対象となっていて、同日の会見で学生担当理事は「やむなく仮処分の申し立てをした。明け渡し訴訟を行う可能性は排除していない。寮に居住している寮生は執行を受け、賢明な判断をしてほしい。」と発言しました。

○2019/01/19 京大当局による『占有移転禁止の仮処分』申し立てに対する抗議声明

 「やむなく今回の仮処分の申立てを行った」と説明していますが、吉田寮自治会が求めている話し合いを拒絶しておきながらのこうした説明は詭弁というべきです。意見が異なる相手に向き合わず権力機関をも利用して従わせる今の京大当局のあり方に、強く抗議しました。また寮自治会と当局には厳然たる権力差があるのに、むしろ権力を持つ当局がそれを利用して(訴訟という措置をちらつかせて)、自らの方針に従わせようとするのは人権侵害です。現棟老朽化問題は話し合いによって解決すべきであり、吉田寮自治会として改めて話し合いの再開を要求しました。

○2019/02/12 大学当局が「吉田寮の今後のあり方について」を突然発表

ここにきて大学当局は寮生退去の理由として、従来の「安全確保」に加え、現在の運営実態が「不適切」だとして「学生寄宿舎としての適切な管理の実現」を掲げました。当局の目的が寮自治の解体であったことを、当局自らが公言したのです。これは当初の「基本方針」から大きく逸脱しています。

 この文書で、現棟・寮食堂については「安全確保などの措置を講じた上で利用を再開する」とされましたが、依然として具体的な老朽化対策のビジョンは一切示さず、一方的に立入禁止を宣告しました。耐震補修が完了している寮食堂を含め立入禁止としたことを受けて、寮食堂・厨房の使用者たちも公開質問状を出し抗議しました。

 一方西寮について大学当局は一部方針を転換し、条件を満たした者の居住を認めるとしました。しかしその条件とは、

・大学当局が指示した場合は退去する。

・入寮募集を行わないこと。

など、従来の寮自治を真っ向から否定するもので、しかも「基本方針」発表以降に入寮した寮生は居住を認めない、というものであり、到底受け入れられない内容でした。

○2019/02/20 寮自治会が「吉田寮の未来のための私たちの提案」を発表

 「吉田寮の今後のあり方について」には「不適切」だとする寮の自治について何ら具体的言及がなく主張の根拠は印象に過ぎないと述べた上で、吉田寮が実践してきた自治を改めて説明しました。そして当事者との合意なく決定した方針が押し付けられるのは不適切であるとし、以下の妥協案を当局に対して提示しました。

    ① 入寮募集は新棟に限り行う

    ② 条件付きで現棟の居住を停止する 

(※条件…安全性の担保されている食堂の継続利用、清掃や点検といった寮自治会による従来通りの現棟の維持・管理)

大幅に譲歩したのにもかかわらず、大学当局は寮自治会の提案を一蹴しました。

○2019/03/04 占有移転禁止の仮処分 #2

再び京都地裁の執行官数名が突然来寮しました。大学当局は今回の仮処分の理由について、一回目の仮処分で本学が把握する以外の寮生が居住していることが分かったから、だと発表しました。しかし、「本学が把握する」と言っていますが、2018年4月以降、寮自治会が従前どおり毎月名簿を提出しようとするも、大学当局はそのたびごとに受け取りを拒否しつづけているのです。現棟に居住する寮生を当局が把握できないというのは、名簿の受け取り拒否という大学当局の職務怠慢によるものなのです。

○2019/04/24 教員有志による「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」提出

 学内教員有志が呼びかけ人となり執行部の方針見直しと対話の再開を求める署名を集めました。学内教職員59名、学生、市民の計401名の賛同者名簿を大学当局に提出しました。

○2019/04/26 大学当局が吉田寮生を提訴

 大学当局は寮自治会との話し合いを拒絶したまま、吉田寮生のうち20名に対して、現棟と寮食堂の明渡しを求める民事訴訟を提訴しました。

○2019/04/27 教員有志による「提訴にかかわる緊急抗議声明」発表

 「吉田寮問題にかかわる教員有志緊急アピール」呼びかけ人が抗議声明を出しました。『大学執行部が「学生を守る」という本来の役割を放棄して、教育機関としての自殺行為をあえておこなった。言葉による対話と説得の能力を欠いていることを、大学執行部が自ら証明してみせた。』と強く抗議しました。

○2019/05/05 吉田寮自治会が「吉田寮現棟の明け渡し訴訟に対する声明文」を発表

 大学当局(とりわけ理事ら執行部)は、学生である寮生より、はるかに多くの法的権限を有しています。権力を持つ側である大学当局が学生を相手取って訴訟を起こすことは、権力濫用にほかなりません。

現棟老朽化問題に対しては2016年以降検討中というのみで建設的な話し合いは行われず、また190212「吉田寮の今後のあり方について」で自治の「不適切さ」を退居の目的に加え、さらには190220の寮自治会の「安全確保」を達成する妥協案を一蹴しました。つまり今回の提訴は、対話を軽視し、圧力によって異なる意見を封じこめようという流れの中にあるものなのです。こうした強硬な姿勢は、学生など当事者の主体性を軽んじる暴力的なものです。

「対話を根幹とした自由の学風」を標榜しておきながら対話を拒み、自らの方が立場が強いにもかかわらず、第三者(裁判所)に学内問題を持ち込むのは大学自治の崩壊と言えます。

 寮自治会は大学当局と学生の対話こそが、根本的な問題解決のための最善の方法であると考えているので、訴訟の即刻取り下げと話し合いの再開を求めました

○2019/07/01 「対話による吉田寮問題の解決を求める要請書」を提出

 教員有志が呼びかけ人(43名)となり、教員(23名)や学生、市民などが賛同したものを京大当局に提出しました。大学当局に対して以下の3点を要求しました。

    ① 吉田寮現棟明け渡し訴訟を直ちに取り下げること。

    ② 現寮生の新棟への居住移転と旧食堂棟の利用を認めること。

    ③ 管理・運営上の問題については、居住移転により「寮生の安全確保」を図った後に、寮自治会との対話により解決すること。

○2019/07/04 吉田寮現棟・寮食堂明渡請求訴訟 第一回口頭弁論

○2019/10/07 第二回口頭弁論

○2019/12/26 第三回口頭弁論

 大学当局は、様々な人々による抗議を無視して、訴訟を開始しました。繰り返しますが、吉田寮自治会は問題解決のために訴訟の取り下げと話し合いの再開をこそ求めています。だからこそ話し合いなき法的措置によって一方的に追い出されるのを、受け入れることはできません。そこで5人の弁護士による弁護団の協力のもと、法廷の場でも寮自治会として然るべき反論を展開しています。

 第一回の口頭弁論では、この訴訟が単なる建物の安全性の話ではなく、広く寮や大学のあり方を問うものであることを裁判官に強く訴えました。続く第二回・第三回では、吉田寮現棟が退去を強要するほどに老朽化していないことや、当時の理事による「過去の約束は強制されたもので無効」との主張が事実無根であること等を、耐震調査の結果や歴代の理事との話し合いの経過を説明しながら主張しました。

 毎回の口頭弁論の傍聴や裁判の報告集会には、寮生だけでなく、寮外生、元寮生、地域住民、京大の学生や教職員、他大学の学生など100名を越す人々が集まり、様々な人々が、吉田寮を巡る大学執行部の強行姿勢を疑問視していることを物語っています。

〇2020/01/21 大学当局が「吉田寮現棟に係る占有移転禁止の仮処分の執行とその後の状況について」を送付

債務者の一部(債務者のうち、被告ではなくかつ退去を報告する「誓約書」を出していない人)とその保護者宛てに上記の文書が突如として送付されてきました。そこには、現棟を退去している場合は退去後の住所の証明書類の提出と現棟・食堂に一切立ち入らないことの誓約を求める「退去報告書」を20200210までに出すように求める旨と、不備があったり提出がない場合は被告に追加することを検討する旨が書かれていました。

〇2020/02/20 吉田寮自治会が「京大当局による吉田寮生・元寮生への脅迫に対する抗議声明」を発表

2020/01/21の大学当局の文書について、被告とされていない者に対して訴訟をちらつかせて圧力をかけて寮から追い出そうという大学当局の姿勢の表れで、自ら被告とした学生たちを見せしめにする行為は教育者としてあるまじき行為であると強く抗議しました。また2019年3月に京大を卒業して吉田寮を退寮した者に対しても、卒業したことを把握しているのにもかかわらずこのような文書が送付されていました。現棟を占有していないことは明らかであるのにわざわざ送付するのはいやがらせに他なりません。

〇2020/03/31 追加提訴

 大学当局は債務者で被告でなくまた「退去報告書」の提出の無かった25名を追加で提訴しました。

〇2020/04/06 吉田寮自治会が「吉田寮生・元寮生の追加提訴に対する抗議声明」を発表

 新型コロナ感染拡大する中で京大当局がなすべきは訴訟の取り下げであって決して新たに訴訟を開始しようとすることではないとし、追加提訴に踏み切ったことは非人道的かつ著しく公共性を欠く行為であり、最も強い言葉で抗議をしました。

〇2020/08/06 吉田寮自治会が「追加提訴訴状送付に伴う声明」を発表

 訴状が送付されてきたことに伴い、吉田寮自治会は明渡請求訴訟及び追加提訴について問題点を指摘する上記の声明を発表しました。現寮生だけではなく元寮生に対しても提訴をしているということ、新型コロナウイルス感染症流行化に不要不急の提訴を行っていること、「寮生の安全確保」が蔑ろにされ続けていることを指摘しました。

〇2020/08/30 吉田寮自治会がオンライン集会を開催

 新型コロナウイルスの影響で当初3月に予定されていた第4回口頭弁論が延期に延期が重なり9月18日となったことを受け、吉田寮自治会は8月30日に感染症対策としてオンラインでの集会を開催しました。久しぶりの集会ということもあり、訴訟のこれまでの経緯と論点や吉田寮を巡る近況報告、さらには次期総長選に関する報告がありました。

○2020/09/18 第四回口頭弁論

 感染症対策で傍聴席は1/3近い約30席に減らしての開催となりました。現地には当日50名ほどの傍聴希望者が集まりました。また被告が45名もいるにも関わらず感染症対策でわずか10席に制限されてしまい、裁判所に来たのに出廷できなかった被告もいました。今回は京都大学の主張に対する法的な枠組みに関する反論を行いました。その後のオンライン集会では元寮生が追加提訴されるまでの経緯や10月からの新執行部体制に対する取り組みについてなどの話がありました。

〇2020/10/01 吉田寮自治会が「2020年10月からの京都大学役員一同への要求書」を提出

 吉田寮自治会は2020年10月から執行部が交代となったことに伴い、上記の要求書を提出しました。老朽化対策を含む今後の吉田寮のあり方について、団体交渉を含む、寮自治会など当事者との話し合いを再開すること、吉田寮自治会と歴代役職者が締結してきた確約を引き継ぐこと、寮生・元寮生を被告とした建物明渡請求訴訟を取り下げることを要求しました。

〇2020/11/20 吉田寮自治会が「201001要求書に対する京都大学役員一同の無回答への抗議声明」を発表

回答期限を過ぎても何も回答がないことに対して、このような態度は民主主義の重要な要素である話し合いを軽視する非民主主義的なもので、回答を示さない理由についても説明することなく決定権を有さない窓口職員に寮生への対応を押し付けるのは大学職員への不当な労働力搾取であると抗議しました。

○2020/12/02 第五回口頭弁論

 感染症対策で傍聴席が41名に制限された形で開かれました。今回は寮自治会の社団性について文面を提出しました。その後のオンライン集会では新執行部に移行した10月以降の動向、今後の吉田寮自治会の方針、「在期」カンパの報告や、近隣住民、教員の方からのメッセージ発信などを行いました。

○2021/03/04 第六回口頭弁論 (予定)