吉田寮裁判終結を受けてのオンライン署名開始のお知らせ

2025年8月25日より、Change.orgによるオンライン署名活動「吉田寮の自治と歴史的建築を未来へ! 和解した今こそ対話の再開を!」を開始しました。

本日、ついに吉田寮生と京都大学の6年半に及ぶ裁判が和解によって終わりました。
しかし、未解決の問題が山積みです。
(詳しくはこちらの声明をご覧ください)
吉田寮自治会は和解を契機として新たに署名を開始し、これからの吉田寮のために活動を続けていきます。
そのために、皆さまの声が必要です。
是非とも署名・拡散へのご協力をお願いいたします。

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署名はこちらから(Change.org署名ページ)

  署名活動の主旨  みなさんこんにちは!  私たちは京都大学吉田寮に暮らす寮生です。2025年8月25日、吉田寮生と京都大学との6年半に及ぶ裁判が、和解によっ…
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吉田寮の自治と歴史的建築を未来へ! 和解した今こそ対話の再開を!

 みなさんこんにちは!

 私たちは京都大学吉田寮に暮らす寮生です。2025年8月25日、吉田寮生と京都大学との6年半に及ぶ裁判が、和解によって終わりました。 

 このたび、裁判の争点となっていた部分に関しては結論に至ったものの、依然として多くの問題が未解決のまま残されており、今後も解決に向けて取り組んでいく必要があります。

 吉田寮は、学生が低廉な家賃で住むことのできる福利厚生施設であり、様々な人が交流できる文化スペースでもあります。そして、その土壌となってきた100年以上の歴史的価値のある吉田寮現棟をこれからの未来へつなげていくために、私たちは京都大学執行部に以下のことを求めます。

  1. 歴代の確約とこのたびの和解の趣旨に基づいて、吉田寮自治会など当事者との話し合いを速やかに再開すること
  2. 吉田寮現棟の耐震工事については、確約にのっとり建築的・歴史的価値を尊重する補修を速やかに実施すること

2025年8月25日 吉田寮自治会

吉田寮の現在

 吉田寮は1913年から続く、現存する日本最古の学生自治寮であり、現在では現棟(1913年建造)と新棟(2015年建造)、そして共有スペースとしての食堂(1886年建造、2015年大規模補修完了)におよそ120人の寮生が暮らしています。

 安価な家賃で住むことができ、人と人とのつながりを創発する吉田寮は、112年の歴史を経た現在、年齢、ジェンダーなど性のあり方、国籍も様々な人びとが共に暮らしており、京都大学全体の福利厚生の場として機能しています。

 また、「開かれた場」として、寮内や大学といった垣根を越えた交流があり、特に吉田寮食堂は、日常の歓談から芸術表現や学生・市民の学びまで、寮内外の人びとが多様な活動を行うユニークなコミュニティスペースとして活用されてきました。

 こうした吉田寮の重要な意義は、「自治」によって成り立っています。

「自分たちのことを自分たちで責任をもって決める」

吉田寮は自治寮であり、寮生を中心とした寮に関わる人びとが、自主管理・運営を行ってきました。それゆえに、場にかかわる人びとのニーズやアイディアが反映された自由で柔軟な運営が可能となってきたのです。

 そして吉田寮のあり方について京大執行部と寮自治会とで意見が異なる場合も、そのつど公開の場での話し合い(団体交渉)を行い約束(確約)を交わすことで、合意形成を図ってきました。例えば、2015年には食堂で活動する様々な人びとに開かれたかたちで行われた団体交渉によって確約が結ばれ、食堂の大規模補修と新棟の建設が実現されました。

 築100年を越える現棟の老朽化についても、寮自治会から改修案を出し、解決に向けた話し合いを重ねてきました。

 こうした歩みの中で築かれてきた「自治」は、大学との確約に基づいて成り立ってきたものであり、吉田寮が本来の姿として担ってきた正当な権利であり責務にほかなりません。

 しかし京大執行部は2015年10月以降、寮自治会との話し合いを拒み、2017年12月には突如、新入寮生の募集停止と既寮生の全員退去を一方的に通告しました。これらは、それまで吉田寮と大学とが結んできた数多くの合意を全く無視したものでした。また、通告の理由は現棟の老朽化であったにもかかわらず、新棟や耐震補修を終えた食堂からの立ち退きも迫るなど、矛盾に溢れていました。

 さらに京大執行部は、現棟と食堂の明け渡しを求めて吉田寮生を提訴するという強硬手段を取ります。2019年2月に幕を開けたこの裁判は6年半にもわたり、2025年8月に大阪高等裁判所における和解に双方が合意することをもって終結しました。

この和解では主に、

  1. 京都大学は速やかに吉田寮現棟の耐震工事を行い、その間被告寮生は一時的に現棟から退去すること
  2. 吉田寮食堂の使用(イベント開催など)は禁止されないこと

が確認されました。

 一方、現棟の耐震工事の内容や、耐震工事後の現棟を含む吉田寮の今後のあり方などについては、裁判所で取り決められる性質のものではなく、今後の大きな課題です。

私たちが目指すこと①:対話の再開

 寮自治会は一貫して、裁判を取り下げ当事者との話し合いを再開することを、京大執行部に求めてきました。執行部は「寮生との対話は建設的でない」と言って強引に法的措置を進めてきましたが、実際にはこの6年半は、ただ不毛な裁判に時間やお金や労力が費やされ、肝心の、現棟の老朽化対策をはじめとする具体的な課題は放置され続けました。

 この6年半という歳月は「当事者を無視した強硬措置は、何ら問題解決に繋がらない」ことを如実に物語っています。

 裁判は和解という形で終結しましたが、吉田寮の今後をどうするかは、これから決めていかなくてはなりません。

 今こそ京都大学執行部は、話し合いを通じた問題解決という、寮生たちや歴代の執行部が丁寧に積み重ねてきたあり方に立ち返り、吉田寮自治会との話し合いを再開すべきです。

私たちが目指すこと②:建築的・歴史的価値を尊重した速やかな現棟の耐震工事

 和解においては吉田寮現棟の耐震工事の具体的な内容が定められていません。

 1913年建造の吉田寮現棟は建築的にも非常に貴重な歴史的建造物であり、日本建築学会近畿支部や建築史学会から保全活用を求める要望書が京都大学に提出されています。

 これまでの確約においても、建築的意義を尊重した補修に向けて話し合いを続けることが約束されており、2019年に京都大学が発出した文章でも「現棟の建築物としての歴史的経緯に配慮する」と明記されています。

 しかし和解で約束された「耐震工事」には、補修だけでなく建て替え工事の可能性も含まれています。私たちが強く要求しなければ歴史的経緯や空間的・構造的な特長が無視され、現状とは大きく異なる構造の建物になってしまいかねません。

 耐震工事にともなう福利厚生の縮小を最小限にとどめるためにも、建て替え工事ではなく、工事期間が短期間で済む補修こそが最適な解決策です。

 工事後の現棟を福利厚生、建築・歴史的価値、様々な側面からより望ましいものにするために、耐震工事のプロセスを京大執行部の一存ではなく、きちんと私たちと話し合って合意の上で決めることを求めます。

これからの吉田寮へ

 「安心して学問に励む」「多様なバックグラウンドをもつ人びとが交流する」、こうした吉田寮の重要な意義と性質は、話し合いを根幹とする自治によって培われてきたものです。

 競争が激化し、社会の各所で管理強化が進む一方、システムの綻びに起因する問題が様々な次元で噴出する現代において、対話と自治の可能性に注目が集まっています。

 吉田寮の意義は、単に歴史的な建築物があることや長く続いてきたことには決して留まりません。対話により多様な意見、アイディアが日々生まれ交わされる自治寮である吉田寮は、これからの世界を構想する一つの実験の場でもあるのです。

 私たちはこの吉田寮の可能性を未来につなげるために、和解成立を好機として、京都大学執行部が速やかに話し合いを再開することを求めます。

 まずはぜひ、この署名に賛同してください。そして皆さんの近くの人びとへ、この署名と私たちの存在を伝えてください。

 そしてぜひ吉田寮についてもっと知ってください。皆さん自身がどう感じるか、京都大学に何を思うか、吉田寮の今後についてどう考えるのか。私たちは皆さんと一緒に話し合い仲間になるのを楽しみにしています。

 ぜひ遊びに来てください。吉田寮で会いましょう!
 最新の情報は吉田寮公式HP(https://yoshidaryo.org/)にてご確認ください!