現棟自力補修活動について

このページでは、吉田寮現棟の老朽化対策に関する基本的な情報および、現棟の自力補修活動について発信しています。
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なぜ私たちは現棟の補修・改修を求めるのか

吉田寮自治会は2012年以降、吉田寮現棟の大規模補修を求めています。
私達は、自治寮としての吉田寮を存続させるという目標にたち、歴史的な価値の観点も織り込みながら、自治活動を行う上でも有用である現棟の補修・改修を要求しています。

詳しくはこちらのビラをご覧ください。

「吉田寮自治会が現棟を補修したい理由について」(2022年9月5日 吉田寮自治会)

大学当局は現棟老朽化対策を遅延させている。

吉田寮自治会と大学当局(学生担当理事)は、2012年9月18日に”現棟の建築的価値を尊重する大規模補修に向けて継続協議する”という確約を締結しました。吉田寮自治会は2014年に「京都市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例」を現棟に適用する補修案を提案し、2018年7月には更に部分的な建て替えも含む複数の具体的な改修案を大学当局に提示しました。

しかし大学当局は2015年以降話し合いを拒否しており、寮自治会の現棟改修案に対して「検討中」としか回答せず何ら具体的な対案を示していません。

私達は、現棟の耐震性・安全性を向上させる根本的な解決策は、大学当局が寮自治会との話し合いを再開し、現棟老朽化対策を進めることにこそあると考えます。

なぜ私達は現棟の自力補修に取り組むのか

私たちは、吉田寮現棟の生活環境を維持し、また歴史的建築的価値を有する現棟の将来的補修存続の可能性を維持するため、可能な範囲での「自力補修」にも取り組んでいます。

伝統工法の木造建築である吉田寮は、非常に長期間にわたり使い続けることが可能です。しかしそのためには継続的な小・中規模の補修・メンテナンス(雨漏りの修繕や腐朽した部材の交換など)が不可欠であり、従来こうした補修は寮自治会との協議のうえで大学の責任において行われてきました。また寮自治会としても、寮外の専門家の意見も得ながら、自力補修にも取り組んできました。

しかし大学当局は2018年以降、現棟の維持管理に必要な小・中規模補修すら拒むようになりました。これは大学の建物の維持管理を放棄することを意味しており、「建築的価値を尊重する」という自らの見解にも矛盾しています。

寮自治会は2022年にも「現棟の老朽化対策に向けた話し合いの再開と現棟の継続的補修を求める要求書」を提出し、特に風害による屋根の損傷の補修を求めました。しかし大学当局は”大学は補修を行わないし、寮自治会による自力補修も認めない”という旨の回答を行いました。自らの補修義務を放棄した上、当事者による建物の維持管理すら認めないという姿勢はあまりに理不尽です。

このように大学当局が全面的に現棟の維持管理を拒む中、現棟の自力補修の重要性が一層増しているのです。

補修カンパについて

現棟の自力補修は、寮外の専門家や職人さんに技術的な方法を教わったり、材料を融通していただきながら、極力寮生自らが関わることに重きをおいて実施しています。しかし補修個所によっては寮生自身が作業することは難しく、専門家に施工を依頼したり、材料費が高額になることもあります。

大学当局が全面的に補修を拒否する中、寮自治会の財政のみから補修費用を捻出することは困難な状況となっています。そのため2022年9月より補修費用のカンパを募っています。

~カンパの収支報告~

(最終更新:2022年11月25日)

補修カンパ合計額:470,000円

いただいたカンパは全て、2022年9月より行なっている現棟の屋根の修繕費用の補填にあてさせていただきました。また金銭的なカンパだけでなく、自力補修に用いる物資についても多くの方にカンパいただきました。
カンパをしていただいた皆様、本当にありがとうございました。

今回の屋根補修の費用には1,173,040円を要しており、また今後も、現棟の継続的補修に取り組んでいく必要があります。このため、補修費用のカンパ呼びかけは継続しています。吉田寮現棟の居住・活動環境を維持し、将来的な存続可能性を維持することに賛同いただける方、もし可能であれば是非、現棟の自力補修にご協力お願いいたします。

具体的なカンパ方法については、こちらをご覧ください。

「現棟屋根の自力補修を実施することと、カンパの呼びかけについて」(2022年9月6日 吉田寮自治会)

吉田寮の補修カンパ(寄付、資材提供)にご協力いただいた皆様

山本英司(1988~2000年材料、金沢星稜大学教授)、冨岡勝、じゃとる(大学教員)、小坂純一(気象予報士/元寮生)、岸彩子(2013年人間・環境学研究科)、高橋龍太郎(多摩平の森の病院)、石田和(元寮生)、スギモトタカアキ(会社員)、前田浩之、三木文夫
(順不同、敬称略。公開に賛同いただいた方のみ掲載。)
資源再活用支援者(括弧内は資源活用材)
NPO法人 古材文化の会(北寮台所補修用材木5本、廊下用窓枠10枚)、岩井材木(廊下用窓枠5枚)、ぶんぶんカフェ(扉・庇の防水及び着色用の柿渋)、井上明彦(北寮台所補修用材木)
(順不同、敬称略。公開に賛同いただいた方のみ掲載。)

自力補修の活動報告

ここでは、これまでに行ってきた自力補修活動について、報告します。

2021年以前の活動についても随時公開します。

●屋根の補修

2022年9月〜10月に、北寮及び中寮の屋根の補修に取り組みました。
経年劣化や2018年の台風21号による屋根瓦の損壊について、屋根瓦店さんに依頼して補修や応急処置を行いました。
屋根の補修については特に高額な費用がかかることから、改めて大学当局に修繕を要求しましたが、当局の回答は”補修はしないし、寮自治会による独自の補修も行わないように”という理不尽なものでした。高額な費用を寮自治会の財政のみから捻出することは難しく、上記の通り補修費用のカンパを集めて実施しました。

写真
補修前の屋根
補修後の屋根
補修中の様子

●土壁の補修

現棟の土壁は免震性能や防火性能を確保する上でも重要な建築要素です。土壁は老朽化しても自ら塗り直して補修することが可能です。
2017年に「京都家づくり塾」という古民家再生ワークショップに参加したり、セルフビルドに取り組んでいるベテランの助力を得ながら、土壁の補修を継続的に行なっています。

土壁補修中の様子 竹小舞組み
土壁補修中の様子 土壁塗り
補修後の土壁


●扉や建具の補修

現棟の各出入り口にはもともと扉がついていましたが、百年以上を経る中で破損・欠損しているものも少なくありません。2022年に、解体される古民家の建具を使って扉を補修・復旧する取り組みを行ないました。

補修した玄関扉
補修した扉

●庇の補修

現棟の各出入り口には庇がついていますが、長年の風雨で老朽化しているものもあります。2022年に大工さんに依頼して腐朽している部材の解体・再構築に取り組みました。

補修前の庇
補修後の庇

●床下の補修

木材の専門家の助力を得ながら、床板を開けて、蟻害などにより腐朽した部材(根太、根太受け)を交換するなどの補修を行なっています。

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2017年床補修
2017年床補修
2022年床補修

●樹木の剪定

吉田寮の植生は豊かな生態系を育んでいますが、樹木が屋根に積もらせる落ち葉は雨漏りの原因となるため、適切な管理が必要です。樹木の剪定・伐採を職人の方に依頼したり、低木については自分たちで剪定を行なっています。なお年一回の草刈りだけは、2018年以降も寮自治会からの要求を受けて大学が実施しています。